松沢知事が提案している知事の「多選禁止条例(通称)」の審議をする委員会審議は深夜に及び、最終的な採決が行なわれたのは翌朝未明の午前4時過ぎとなった。
「委員会所属議員の皆様、長時間に渡っての審議本当にお疲れさまでした。」
自民党内でも様々な意見が交錯する中でしたが、審議がもつれた主因はやはり知事の提案した条例案に法的な無理があったことにある。
国の研究会は条例の制定自体を違憲とはしなかったものの、地方自治法や公職選挙法の改正も併せて行なうべきだという判断をしている。しかし、その法律がいまだ整理されていない今の時点でこの条例の制定を急くのはなぜか?
これを知事特有のパフォーマンスだと非難する向きもあるが、実はそういったことばかりでなく、例えばこの条例が制定されたにも係わらず、四選を目指して立候補の届出をしてしまう人(知事)が現れた場合、県の選挙管理委員会はこれを受理しないことができるのか?と言えば公職選挙法にそういった規定が無い限り受理せざるを得ない、つまり立候補できてしまうというのが現実なのだ。
一本の条例を制定するにも上位法をはじめ様々な関係法令との間に齟齬が生じないようにするのは行政の絶対的な役割だが、その点においてこの条例案自体に瑕疵があると判断できる内容だったのだ。
しかし、現下の社会的な風潮。つまり多選に対する批判的な民意が様々な選挙で示される中で、この条例案を私たち自民党がバッサリと切って捨ててしまうわけにはいかない。
そこで政党のメンツと法的な問題をクリアできる妥協点を探してギリギリの交渉が深夜まで続いたわけだが、最終的にはこの条例を可決するものの、条例が施行される日を別条例で定め、「関係法令がこの条例の趣旨に沿った形で施行された時点で効力を発するようにする。」ということにすることで決着がついたのだ。
松沢県政始まってから4年半、これまで議会では圧倒的多数を占める自民党、公明党、憲政会の三派が知事と対立してきたわけだが、これを機にお互いに是々非々の立場で県政運営に向き合える環境を醸成することが大切であると考えている。