アメリカ本国では配給のめどもたっていなかった三流映画がベネチア映画祭で金獅子賞を受賞し一躍話題となった映画「レスラー」。肉体を酷使して生きるプロレスラーの過酷な人生を描いたものだが、その映画を観た翌日、日本のプロレス界をリードしてきた三沢選手がマットの上で死亡したというニュース。何と言うめぐり合わせか・・・
映画はあのミッキーロークの壮絶な演技が注目されるが、生々しすぎる流血シーンの続出と、そのわりに泣かせる場面のボリューム不足で、残念ながら私には観るに耐えない映画だった。しかし体を張って生きる世界の厳しさと、強い者もやがては老いて行く人生の現実は伝わってくる。
さてプロレスというものが、あらかじめ作られたシナリオによって進行する格闘劇であることは皆さんも良くご存知だろう。しかしそれが分かっていても熱狂する人は多い。
話は変わるが政治の世界だってある意味そうした側面がある。(プロレスよりはかなり複雑なシナリオだが・・)先週末のリングでは総務大臣がヒーローになりおおせ、麻生氏は引き続きヒール役。ただ、ヒーローも悪役もレフェリーもリングの上に居たのは全て自民党の政治家ばかりであった、という点。シナリオの狙いをそのあたりに置いて見るのもプロレスファンならぬ目の肥えた有権者の一つの政治眼かもしれない。