北朝鮮によるミサイル発射が気になるところでしたが、昨日は障害者の雇用率が75%という企業を訪問して参りました。
川崎市高津区にある日本理化学工業鰍ヘ学校の授業などで使用するチョークのメーカーとして国内30%のトップシェアを誇る優良企業ですが、74人の従業員のうち55人が知的障がいを持つ人たちで、その55人のうちの半数が重度の知的障がい(IQ50以下)があるという「障がい者多数雇用」のモデル企業として全国的に知られている会社です。(テレビ番組、報道ステーション・サンデージャポン・カンブリア宮殿などのメディアにも取り上げられる。)
昭和48年にこの取り組みを始めたときに社長(現会長)は正直言って障がい者は施設の中で大事にされて過ごした方が、毎日働くより楽で幸せだろうと考えていたそうです。しかしそんな社長の考えを変えたのがある禅寺の住職の言葉。「人にとって究極の幸せは、1・愛されること 2・ほめられること 3・人の役にたつこと 4・人に必要とされること」 このことに気付いて以来、この会社は障がい者雇用を積極的に進め、今日に至っているそうです。

大山会長の持論は字が読めない人でも色の違いは分かる。原料の容器や道具を色で分けたり、数字が分からず、作ったチョークの太さを測れない人でも専用の計器(写真)を作ればできる。工夫次第で障害のある人でも充分に働けるし、それがみんなにとって本当に幸せなことなんだ。と熱く語って下さいました。

工場では真剣に、そして喜々として仕事に取り組む社員の皆さんの姿があり、この日は黄色のチョークを量産されていました。年の頃では50歳くらいの方でしょうか、梱包する前のチョークの傷をチェックする人がいました。この方はほんのわずかな傷や曲がりでも瞬時に見分ける、正確な能力を持っていらっしゃるそうで、障がいの中にあるこだわり行動が優秀な仕事につながっているようです。
会議室には社員の皆さんが今年の目標を書いた紙が貼られていました。その一枚に目が釘付けになりました。プリンターで印刷したようにきれいで正確な文字。これは障害のある方が手書きした文字だとか!これも障がいがあるゆえの特別な能力の一つなのでしょう。

ハンガリー出身のジャパンタイムズの記者はこの会社を取材してこう記したそうです。「日本の中小企業はマニュアルでなく個々の人に対応する職人文化を持っているからこういうことができる。マニュアル文化の国ではマニュアルが読めない時点でもう働けない。」
自ら会社の説明をされる会長さんの口から、社会や政治や行政に対する不満は一切聞かれませんでした。むしろ地元川崎市や神奈川県のこんな制度を利用させて頂いてこれまでやった来れた。という感謝の言葉が説明の中にちりばめられていました。
会長さんいわく、障がいのある方に20歳から60歳まで施設で暮らして頂くには約2億円の費用がかかる。しかし、その費用を障がい者雇用のための賃金の一部にまわして頂けたら、もっともっと障がい者雇用は充実するし、働く喜び、人の役に立っている喜びを感じながら障がいのある方に自立して生活してもらえる。
昨日は本当に充実した視察ができました。
ミサイルなんか飛ばしている場合じゃないよ、ホントに。