こんなケースに出会ったことがありました。(市外でのこと)
その子は小学6年生の女子。家族はおばあちゃんとお母さんの三人暮らし。高齢のおばあちゃんは足腰が弱り、トイレに立つにも介助が必要。お母さんは以前より精神を患っていて外出が困難。そのためその子は日常的に二人の家族を介護しており、学校を休むこともある事から先生も家庭訪問を繰り返して必要な行政につなごうとされています。
私など安直な人間は話を聞いて「子どもが介護のために学校を休むなんて良くないことだ。それならばまずおばあちゃんに介護認定を受けてもらって施設入所」と答えを出そうとします。そして「次はお母さんを精神科の病院へ」・・「子どもは・・・一人になるから一時保護」。
現在の私たちの国の介護や医療や児童福祉の制度を使えばそうした対応となるのが一般的であるのかもしれません。でも、その子が望んでいることを聞くと「優しいおばあちゃんと、お母さんと一緒に暮らしたい」と言います。
ヤングケアラーという言葉が使われるようになり、併せてダブルケアとか、老々介護、介護離職など、超高齢化社会の中で、家族のケアにまつわる新たな課題が浮き彫りになっています。そこで大事な視点は「大変だったら制度を使って楽になりなさい」といった安易な対処ではなく、ケアする人ケアされる人が何を望んでいるかということについて、もう一歩踏み込んだ、しかし決めつけすぎないアプローチが必要だということ。
元気な人は「なんでそこまでする必要があるの?」と思うかも知れません。でも実際に当事者になれば、その思いはとても複雑なものだと思います。
40年、献身的に妻の介護を続けて来た夫が、いよいよ施設入所の段取りとなった妻を大磯の海に車いすごと突き落とした事件。昨日その判決がありました。3年の実刑判決。夫も裁判で刑罰を受け入れると言っており、82歳の夫はこれから3年の懲役刑となります。
社会はこうした人たちに何ができるのか・・・
あがいて、あきらめずに、あがき続けるしかないのでしょうね・・・。
今日も暑いですね。